リンパ腫と宣告されてしまったポポロン。
なんと未治療でのその余命は
20日以内。
驚愕の速度で体を蝕むというのが、この数行だけでもお分かりいただけるだろう。
しかし、20日で、死なせないよ。絶対に。もっともっと長く一緒にいたいんだ。
その思いから、抗がん剤治療を選択しました。
僕なりに調べつつ、先生に教えていただいたメリットやデメリットをまとめたものになります。
猫マスターがこれにしてたからこれがいいんだ!とはならず、あくまで獣医さんと「その子に合う」最適な治療法を選択してあげてください。
知識としては入れておきつつ、常にその子の最善を・・!でお願いしますね。
抗がん剤治療とは

専門的な話は専門的な人のを読んでもらうとして、ものすごく噛み砕いて書くと
「身体中のいい細胞も悪い細胞も全て攻撃しまくって破壊しまくるやばいやつ」だ。
癌やリンパ腫などは反応が非常に良く、早いと1日で消えることもあるらしい。
そのくらい勢いよく細胞単位で攻撃できる。
しかし、それと同時に身体にとって必要な、身体を守っている大事な細胞までも破壊していくため、いわゆる「副作用」が出てくる。
よくドラマとかで見るような、脱毛や吐き気、下痢、倦怠感、などなど、副作用の方がやばくね?という気持ちになってしまうわけです・・・。
が!しかし
動物の抗がん剤は副作用が出ないように抑えられている

猫や犬の抗がん剤は人間への投与に比べかなり少なめで、副作用が少なくなるように計算されているのだ。
入院が必要なレベルの副反応が出る確率は全体でも5%未満くらいらしい。
というのもやはり人間に比べれば体が小さいので、人間と同じような使い方をするとそれだけで死んでしまったりするようで(実際に医療過誤で投与量を間違えて2倍あげてしまったことにより亡くなってしまった猫などもいる)、副作用に耐えれるような量に調整をされているのだ。
つまり
猫の抗がん剤治療は思っているよりは(人間のものと比べて)ヘヴィではない
のです。すごい!
正直最初に話を聞いた時は
「抗がん剤・・・?ツルツルの猫になっちゃうの・・・?吐き気とか・・・動けなくなったり・・・?」
と不安マックスでしたが、なんとびっくりそこまで強い症状が出る子は稀らしい。(と言っても出る子は出ます)
ただ、白血球や血小板が著しく減りまくると敗血症というやばい病気やその他の何かを併発したりすることもある。
それらの対策のためにも抗がん剤を打ってから、一週間後に必ず血液検査をすることになるらしい。
その検査で、必ず血小板や白血球数、その他の数値をしっかり監視して、数字に問題がないことを確認して、次の注射へ・・・
と進めていく。ここで一つでも問題があると(白血球数が著しく少ない、など)治療が進められない、ということになってしまうのだ。
意外と症状出てないのに、検査したらめっちゃ低い!?続けられないな!とかいうことも結構あるらしい。
ここは完全に猫の体質によるのだろう。
ここで他に過去に病気をやっていたり持病があったり、他に飲んでる薬があったりすると、また全然話が変わってくるようで、こうなった際に100%の治療ができるように、いかに健康を維持して置けるかというのも大事になりますね。
そして、病院で教えていただいた主な注意点を簡単にまとめておこうと思う。
抗がん剤の主な副作用
活発な増殖を繰り返す細胞は骨髄、消化管粘膜、口の中の粘膜、毛根などがあげられます。
- 骨髄:白血球や血小板の減少(色々と感染しやすくなる、一週間から10日で症状が出る)
骨髄抑制と呼ばれている。とにかく感染リスクを下げる。リスク回避のため抗生物質を一緒に飲ませたりする必要もある。
- 消化管粘膜:嘔吐、下痢(治療当日から2日目くらいで症状が出る)
これが結構出る子が多いらしい。厄介なのが、下痢をしまくると細菌感染しやすくなるため、免疫力が落ちている最中の下痢は最悪、というコンボなので、こちらも下痢をしたりしたらすぐに病院に連絡してくれとのこと。
嘔吐は、猫の場合判断が難しく、もともとよく吐く動物なので、換毛期だからはいてるのか、吐きグセがあるだけなのか、副作用なのかそうでないのかを判断できるように日頃との差をちゃんとチェックしなければならない。色や量、頻度など。
- 口の中の粘膜:口内炎
口内炎になるとご飯は露骨に食べにくそうになるので、判断はしやすそう。こちらも食欲がガクッと落ちるので、結果的に体力低下につながるため、よく監視。下や口内に潰瘍のようなものができたり、人間の口内炎的なものがあったらすぐに連絡を。
- 毛根:脱毛(猫ではヒゲが抜ける程度)
こちらが結構心配だったのですが、なんと毛はほぼほぼほ抜けないらしい。髭が抜ける子はいるらしい。
髭は人間にとっての髪の毛ポジだったのか。
抗がん剤の使い方
抗がん剤治療単剤と多剤併用に分けられそれぞれがそれぞれ使い方がある。
同じ抗がん剤を一定のペース、期間で使い続けるとリンパ腫が耐性を獲得してしまい、どんどん効き目が悪くなってしまう。
それを避けるため多剤併用療法がよく使われる。
リンパ腫や癌の種類によってどの抗がん剤を使うか変わることもあるのでそこは獣医師さんとの相談になる。
それぞれメリットデメリットがあり
単剤療法
一つの抗がん剤のみを繰り返し使用する方法。
リンパ腫に効果が最も期待できるドキソルビシンを3週間ごとに使用する方法が主流らしい。
投与間隔が3週間に一回になるため通院頻度が少なくなり、家で普通に暮らせる時間が確保される。猫への精神的な負荷、ストレス軽減が最大のメリットだろう。
費用が多剤併用療法に比べると安価な点もメリットとしてあげられるかも。
一方で、多剤併用療法に比べると治療成績は劣ってしまうというのがデメリット。
しかしこれも「単剤ってあんまり効果ないぜ!」とかそんな話ではなく、やたらこれが効く子!ってのも存在するので、常に先生と決めていくべし。
多剤併用療法
異なる抗がん剤を複数用いることで、多方面から腫瘍細胞を制御する方法。
単剤療法に比べ、治療成績が良く、治療効果、予後が長く続くことが期待できるらしい。
一方で抗がん剤導入初期は1週間に一度の通院が必要であること、毎週の血液検査が必須であるため、猫を毎週病院に連れていくというストレスがかなりかかる。
一般的なお仕事をされている方だと、治療を急いで始めたタイミングが平日で、それ以降毎週平日に病院に行かなければならなくなる!とかもある。
副作用が単剤療法より出やすく、副作用の治療で通院の機会が増えたりする=治療費も上がる+猫へのストレスもさらに増える。
費用が高額になることもデメリット。
成績がいいならこちらを望んでしまいますよね・・・。
レスキュー療法
抗がん剤療法を継続している途中で、薬剤の効果が著しく減少あるいは消失した際に、これまで投与していた薬剤とは異なる抗がん剤を用いて治療を行う。
これをレスキュー療法と言うらしい。「とりあえず助ける」的な意味なのかな。
最初に行われる単剤療法や多剤併用療法などの導入プロトコールと比較すると効果は劣るらしい。
というのも、この段階にまで移行せざるを得なくなっているということはリンパ腫自体が強い耐性を持ってしまっていて効きが悪くなっている、ということなので、そもそも抗がん剤の種類云々ではなく、そもそも効きにくい状態の子になってしまっている、と言えるだろう。
ただ、このレスキュー治療だけでなんやかんや全然調子がいいのが続いている子が先生の患者さんでもいるらしい。
以上の使用法で多剤併用療法だから適当にいろんなやつ打ちまくろうぜ〜って話ではなく、きちんと医学的に成果の高い「プロトコール」というものが考えられているのです。
抗がん剤プロトコールとは
簡単にお伝えすると長い歴史の中で生まれた「複数の抗がん剤をこの手順でこの打ち方すると成績が良さげですよ〜」というもの。
抗がん剤は危険も伴う治療のため、これらのルールをしっかり守って行うことで副作用のコントロールがしやすくなってたりする。らしい。
最も有名なプロトコールが
COPプロトコール
C:シクロホスファミド(エンドキサン)
O:オンコビン(ビンクリスチン)
P:プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン)
の略で、これらを決められたタイミングで毎週打っていく。
それぞれがそれぞれ副作用の出方が違うためシクロホスファミドの時は元気なのにビンクリスチンの時は超元気ない、、、など、、それも含めて先生と相談になっていく。
CHOPプロトコール
上記の三つに加え、単剤使用でよく使われるドキソルビシンを加えたプロトコール。
薬の量が増える=リンパ腫が抗がん剤に対抗しにくい、らしいので種類が増えるとより強固な組み合わせになる。
ただドキソルビシンが心臓への負担が大きいため年齢や持病と相談しなければならないことも。
R-CHOPプロトコール
さらにさらにリツキシマブ(リツキサン)という抗がん剤を追加したバージョン。
無論種類が多ければ多いほどリンパ腫が抗がん剤に抗体を持つのが遅れるためよいらしい。
だから最初からめっちゃ多くのやつにしとけばいい!
というタイプのお医者さんもいるようだが、そこはやはり症状や体調、予算も含めて話し合いが大事になると思う。種類が増えるということは「身体に合わない抗がん剤」にぶつかるリスクもあるわけですから、そこは考え方ですね。
UW-25プロトコール
突然名前の感じ変わりすぎだろ?と思うが、CHOPプロトコールをベースとしたプロトコールで2002年にウィスコンシン大学が発表したもので
上記したプロトコールは「寛解後もプロトコールはやりきる」が基本なのだが、これは少し特殊。
「上記したCHOPベースの抗がん剤を投与量や頻度を調整し症状が消えていれば25週で一旦治療を終了」というプロトコールらしい。
再発時に同じプロトコールを使い再度消失状態に持っていける可能性が高いとのこと。
そのほかにもマイナーなプロトコール、アメリカでしか認可降りてないやつ、など色々あるらしいが、日本だと概ねこの4つがよく挙げられる。
色々書いたが基本は先生と相談
まあ難しく考えず、先生に出してもらったプロトコールと照らし合わせて相談して決めていけばいいのだと思う。持病等でできないこともあるだろうし。
ちなみにプロトコール実施中は抗がん剤だけでなく
- 整腸剤
- 吐き気止め
- 胃腸を動かす薬
- ステロイド
- 抗生物質
- 他に反応があればそれに対して処方
と言った感じで山ほど薬が出る。
予防、対策をしておかないと副作用で大きなダメージを負ってしまうこともあるので、必要なものだ。
ただこれも病院の方針によって「出てから飲ます」タイプと「絶対副作用出てほしくないから先に飲んでおいて」のタイプがいるらしい。
薬はできるだけ飲ませないほうがいい!というタイプ、症状が出たから対処だと命に関わるから、リスクを少しでも減らすために症状が出ないように、飲ませる!という感じだ。
リンパ腫の治療は段階ごとに大きく4つに分けられる
リンパ腫の治療は
- 「導入」
- 「維持」
- 「再導入」
- 「レスキュー」
に区分されます。
治療(導入期)
寛解状態に持っていくための治療。抗がん剤を毎週、ないしは薬によっては3週に一度など、打っていく。
数ヶ月の治療を経て、無事!寛解へ持っていければ次のステップへ移行となる。
維持期
無治療(抗がん剤などを打たない)で1カ月に1回定期検診で状態をチェックしながら過ごす。
この期間をいかに長くできるか、が抗がん剤治療で最も大事なところになる。
とはいえ、長くしたいから頑張る〜。
とかの話ではなく、こればかりは本当に運なのだ。
先日も書いた通り、寛解した〜!と思いきや翌日にはリンパ腫が別の場所に・・・
なんてこともなくはない。正直言ってマジで運。
再導入
症状が出てしまったら(=リンパ腫の復活。通称”再燃”と呼ばれる)検査を行い、リンパ腫と確定した場合再度治療を再開。
効き目があるようであれば、一度めの治療と同じものを行う。
効き目がない様であればプロトコールや抗がん剤の種類を変えるなどしてどうにか寛解を目指していく。
維持期(2度目)
再導入後、寛解が望めたとしても・・・
この寛解期間がだんだん短くなってくる。
例えば前回は寛解期間は半年ありました!でも再燃後、際治療で寛解した後は1ヶ月も持たず戻って来ました・・・
と言った感じだ。恐ろしい。
そして、数多の抗がん剤が効かなくなったり、使用できない状況になってしまった場合・・・
レスキュー
再燃を繰り返し、寛解期間が極端に短くなったり、だんだん薬が効かなくなり寛解しなくなって来た場合、他の薬剤を使用。
しかし、ここで使用されるレスキューの抗がん剤は即効性は高いが持続性が短いものが多く、リンパ腫自体も強い耐性を持って来ているため、望んだ効果が得られないことも多い。
打っては1日だけ元気!で、2日目には元気がなくて・・・なんて地獄のような状態になることも。
こうなってしまった時、その子の最期を、本当の意味で考えなければならないのかもしれません。
先生は
「ここで効かなくなる、できることがなくなった時が、その子の”寿命”だと考えてください。」
と言っていた。
抗がん剤治療は根気が必要
こうしてたくさんの説明を受け、他にもたくさんの注意事項があったが、それは闘病日記の中で書いていこうと思う。
薬のあげ方や、ご飯を食べる食べない、色々と問題は山積みだが、とにかく、治療をスタートしなければ、たった数日しか生きられない。それなら、いくらかかろうと、どんなに大変だろうと
やるよ。
この記事ではかなり簡単にまとめてしまっていますが、どんなふうに治療が進んでいくのかなどはリアルタイムで更新をしていきますので、「今日は何を打った」とか、「何が起きた」とか、鮮明に書き綴っていきます。
それが、きっと僕らの闘病にも役に立つ。記録は正義です!
次回
ポポロンが行うプロトコールは・・・なんとこれに決まりました・・・
次の記事はこちら
このブログは僕自身の精神を守るため笑、取り乱して文脈や情報がごちゃごちゃにならないようその日その日、当日に書き綴ったものを後日修正し、時系列をずらして書いております。
闘病の当日に書いた日記や想いをもとに少しでも読みやすくなるよう丁寧に書き直し、一人でも多くの方に伝わるように努めています。
日記を見返しながら書く作業、闘病や辛い想いを2度経験しているようで辛い日もありますが、どんなに辛い日々だとしてもポーチーとの大事な毎日です。
遅筆になり不思議なところで日を跨ぐこともあるかもしれませんが、どうかご容赦いただければ幸いです。
この闘病の経緯を知りたい方は、こちらから読めます。
何か力になりたい!そう思ってくださっている方へ

「どうにかポポロンくん、響介さんの力になりたい!」
その一心から僕が関連している企業様や出版社様へ、お守りや物資をお送りしようと思ってくださっている方が多く感謝の気持ちでいっぱいです。
・・・が、出版社は僕の所属事務所!とかではないため、大量に物資が届いてしまうとお仕事のご迷惑になってしまったり、大変なことになってしまいます。
そこでそれらの対策として、大変心苦しくはあるのですが、処分に困るものや、消費が大変なものがたくさん届いてしまうのを避けるため、フォロワーさんからのアドバイスも受け、お気持ちは「投げ銭」形式で行って頂ければ幸いです。
下記リンクからApple Pay、クレジットカードなどで500円〜お支払いが可能です。
再三お伝えしますが、これは「治療費を分けてくれ〜!」という旨のクラファンのようなものでは断じてございません。
治療費は自分で出します。出せます。投げ銭0でも問題ありません。
あくまで、皆様の善意を受け取る場がご用意できないか「結局何もらうよりもお金が一番応援になるよ!なんでもするよ!」というたくさんのご意見をフォロワー様方から頂けたので現状善意を受け取れる最善方法だと思っております。
気持ち的には「ブログためになったよ〜」的な、読了的な感覚でいて頂けるとなんとなく気が楽です笑。
毎日の様子を投稿できるよう頑張ってまいります。
毎日、読んでね。